=10月=

お施主様の声

あの『健康な家に住みたいな!』の著者外丸氏より
一年間の連載でお送りします!

省エネに欠かせないもの

− 高性能を支える換気設備 −

  省エネ住宅は性能を重視する住宅です。
 それでは、性能が優れていれば良いかというと、もう一つ大切なポイントが残されています。それは換気の問題です。換気がいい加減だと、省エネ住宅の根幹から揺らいでしまいます。そこで、今回は換気の問題を考えてみましょう。
               
 室内の空気環境を適正に維持するたみには、一人当たり1時間に30m3の新鮮な空気が必要とされています。これを必要換気量といい、かつてのような隙間の多い家では黙っていてもこれを上回る空気が入ってきます。その点では安心なのですが、マイナス面も見過ごせません。これでは換気に伴う熱損失が膨大で、お世辞にもQ値の良い家とはなりません。エネルギーの垂れ流しもいいところで、何よりも冬の寒さが身体にこたえます。
  
 それに比べ、最近の住宅は隙間が大幅に減りました。省エネという点では《優等生》です。しかし、今度は空気の供給量が不足する危険が生じできたのです。
 事実、必要換気量が満たされていない家が珍しくありません。だからと言って、窒息することはありませんが、空気が澱んで喘息やアレルギーを悪化させる心配があります。『シックハウス症候群』という問題も無視できないでしょう。C値の良い家になればなるほど、そのままでは換気が不足します。さて、困った・・・・。
                                    
 こうした矛盾を解消するために、現在では機械を使って強制的に「0.5回/時」の換気をしています。1時間毎に室内空気の半分を入れ替える、つまり0.5回の換気をすることが新築住宅に義務付けられているのです。こうすれば、必要換気量を満たせるでしょう。
 それなら、もう安心―と言いたいところですが、ちょっと待ってください!
 法律では、機械換気を義務付けています。しかし、実際に0.5回/時の換気が行われているか確認することまで義務付けでいません。つまり、機械さえ付けていれば、ノーチェックということで、ザル法の見本のようねものです。
               
 それで問題がなければまだしも、実際に測定してみると、換気量が不足している家が非常に多いから困ります。これでは、機械換気の意味がないどころか、せっかくのマイホームが台無しです。
 お施主さんに引き渡す前に、実際の換気量を測定してチェックするか―。契約書にハンコを押す前に、この点を確認することをお奨めします。
 
 温暖化問題が叫ばれるようになり、世間も住宅性能を重視するようになってきました。それは良いのですが、いくらQ値やC値が良くでも換気がいい加減な家は絶対に選んではいけません。家族の健康がおかしくなってからでは後の祭りです。
 目立ちこそしませんが、換気こそが省エネ住宅の生命線です。内装に自然素材を使うのも結構でしょう。オール電化にするもの良いと思います。しかし、まず第一に抑えるべきは換気だということを肝に銘じでいただきたいと思います。
 もっとも、そこまで心配するくらいなら、「隙間なんか塞がなければよいのでは?」と怪訝に感じるでしょうか。そういう方はぜひ思い出して下さい。地球温暖化の阻止は、最も重要な課題です。住宅とて、これを無視することは許されません。
                         
 性能をアップしてエネルギーの無駄をそぎ落とす一方で、必要な換気量は機械で調節する―。これこそが最も確実かつ効果的な方法なのです。
                             外丸 裕 
 


        


                   

エッセイ履歴へ