=平成20年10月=

お施主様の声

あの『健康な家に住みたいな!』の著者外丸氏が当社の為に書いて下さっている連載が好評を頂きましたので
引続き掲載できる事になりました。

空気を汚す見えない犯人

- ホルムアルデヒドを徹底分析 -

  自然素材を活用した自然住宅が好まれるようになった背景として、 シックハウス問題があるのは間違いないでしょう。
 住む人の健康を害する家がシックハウスであり、その原因物質の一つが、合板から揮発してくる ホルムアルデヒドというのは余りにも有名です。ただ、どうしてホルムアルデヒドに汚染されるのか、 その理由をきちんと知っている人は、ほとんどいないのではないのではないでしょうか?
 単純な化合物であるメタンを酸化していくと、メタノールからホルムアルデヒドへと変化し、さらに蟻酸となります。 この内、反応性が高いのがホルムアルデヒドの大きな特徴で、仮に尿素という化合物と反応させるとどうなるでしょうか?
 ホルムアルデヒドの[酸素]は、尿素の[水素]と反応します。2つの尿素の水素とそれぞれ結合し、 H2O[水]となって飛び出します。一方、[炭素]は[酸素]に代わる相手を求めて、 尿素の[窒素]と結合します。 この時、2つの尿素をつなぐ橋渡しのような役割をすることから、 これを架橋反応といいます。

          
 1つの尿素には4ケの[水素]がありますが、全ての[水素]で同様の反応が進行します。 この結果、無数の尿素が三次元的にがっちりと結合して硬くなります。これを尿素樹脂といい、 この結合力が接着剤として利用されます。合板の製造にも尿素樹脂が利用されたため、 未反応のホルムアルデヒドが室内を汚染する犯人となったわけです。 
         
 しかし、ホルムアルデヒドが架橋反応を起こす相手は尿素ばかりとは限りません。 洗濯してもシワにならない繊維がありますが、 その仕組みも繊維同士を架橋反応で固定しているのです。 体内に侵入すれば、DNAやタンパク質と架橋反応を起こします。 すると、細胞は正常に機能しなくなり、 癌化する場合があります。ホルムアルデヒドは、代表的な 発癌物質なのです。
 さて……。ホルムアルデヒドとは何と恐ろしい物質と思うでしょう。メリットなんてない不要な物質と感じるでしょうが、 その理解は不正確です。
 人間をはじめ、生命活動を営む化学反応は、全て炭素を含む化合物を基本とします。 これらは《生命機能のある化合物》の意で有機化合物と呼ばれていますが、 ホルムアルデヒドもれっきとした有機化合物の仲間です。
 事実、ホルムアルデヒドは炭素の供給源として体内で重要な役割を果たしており、 葉酸(ビタミンB9)と結合して 身体中へ運ばれます。意外かもしれませんが、 ホルムアルデヒドも生命活動に欠くことのできない物質の一つなのです。
                 
 天然の木材からはホルムアルデヒドが出ないと勘違いしている方が多いのですが、 無垢材からもホルムアルデヒドは出ています。 だからといって、驚いたり怖がったりする必要はありません。 植物も生命の一つなのだから当然です。
 ただし、余りにも膨大になると悪さをしでかすので、その量にさえ注意すれば良いのです。 家の場合にも、 100㎍/㎥(0・08ppm)という室内濃度の指針値が設けられており、 これ以下なら健康上問題ありません。 「少しでもあったら危ない」とまで脅えるのは、それこそ杞憂というものです。 
                  
   ■私たちが口にする食品中にも、天然のホルムアルデヒドが存在します。
      特に、「干ししいたけ」や「たら」の血合い肉は含有量が多いようです。
     もちろん、健康上の問題はありません。
                          

 
                           外丸 裕 




                

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