=11月=

お施主様の声

あの『健康な家に住みたいな!』の著者外丸氏より
一年間の連載でお送りします!

高性能省エネ住宅の現状は?

− まだまだ徹底しない性能基準 −

  最新の住宅なら、性能的に大差はない―。
そう考えているとしたら、それは大間違いです。そこで今回は、日本の省エネ住宅の歴史を簡単に振り返ることから始めましょう。



 
(1)省エネから温暖化防止・・・・・
 第一オイルショックを教訓にして、日本は省エネ対策を推進しました。住宅性能に関する基準が設定されたきっかけもオイルショックで、このとき制定されたのが旧省エネ基準と呼ばれる最初の基準です。制定から10年を経て、さらなる性能向上を目指した新省エネ基準が制定されています。
 1997年の京都議定書の締結は、日本の住宅に大きな課題を突きつけることになりました。一国のエネルギー対策だけからではなく、温暖化防止という地球的観点から、住宅性能を引き上げることを迫られたのです。こうして制定されたのが、最新の次世代省エネ基準で、東毛地域で家を建てる場合、Q値=2.7以下、C値=5.0以下の性能を求めています。
 ただし、省エネ基準は法律で義務つけられていません。最初の旧基準は住宅金融公庫を利用する際の必須条件とされ、それなりに徹底されました。しかし、それ以後の新基準や次世代基準に至っては、割り増し融資の条件とされたに過ぎず、次世代基準を満たす新築住宅は全体の一割にも達していないのが現状です。

(2)時代は高性能住宅へ・・・・・
 住宅性能が義務化されなかったのは、大手メーカーの猛反対があったからだといわれています。しかし、もはや日本のお家事情でお茶を濁していられる状況ではなくなりました。自分勝手なもので、性能向上を達成した大手メーカーも、今では高性能をセールスポイントにしています。もはや、義務化の反対するとは思いません。
 国際的な貴務を果たすため、政府は2008年度までに、新築住宅の5割を次世代基準の家にするという目標を掲げています。エネルギー価格の上昇も避けられないでしょうから、世間は《燃費の良い家》を意識せざるを得なくなるでしょう。
それどころか、次世代基準でさえ温暖化を防ぐには無力と考える専門家も多く、世界もよりハイレベルな高性能住宅を模索しています。せめて次世代基準程度は、一刻も早い義務化が望まれます。
                   
(3)性能競争の実態・・・・・
 数年前に比べると、高性能を標榜する家が珍しくなくなりました。性能にこだわる消費者も増え、Q値やC値を判断材料の一つにする方が増えてきたように思います。私もそうすることをお奨めしているわけですが、うわべだけの数字を競争に惑わされないようご注意下さい。そこで、こんな問題も紹介しておきます。
 
この場合、熱損失係数(Q値)はそうなると思いますか?正しくはBをCで除した《2.37》ですが、中には@をCで除した《1.86》をQ値と宣伝する業者のいるのです。こうして少しでも高性能に見せかけているケースは珍しくなく、右の例も大手メーカーで実際にあったお話です。
 わずか《0.5》の差ですが、この違いは意外に大きな差になります。家の中と外の温度差が10℃のとき、家全体では1時間毎に700W(ワット)以上ものエネルギーを余計に無駄にします。大差ないなんて、私にはとても見過ごすことができません。

※※※
■Q値(熱損失係数)とは、内外温度差が1℃のときに家全体から失われる熱を床面積で割った値。
■C値(隙間相当面積)とは、家全体の隙間面積を床面積で割った値。

                             外丸 裕 
 


                   

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