=12月=

お施主様の声

あの『健康な家に住みたいな!』の著者外丸氏より
一年間の連載でお送りします!

「健康」に一番近い家

− 住まいの中に潜む死の危険 −

  ここ数年、この辺りで雪が積もるのは珍しくなりました。 温暖化の影響で、冬も確実に温かくなっています。ただ、そうはいってもやっぱり冬は寒いですし、 暖房なしで過ごすことはできません。 ほとんどの方がが誤解しているのですが、温暖化というのは《平均気温》 が上昇傾向にあるということです。寒い日がなくなるというわけではなく、むしろ寒暖の差がより激しくなると 考えた方が良いでしょう。昨日は春のようなポカポカ陽気だったのに今日は雪が散らつくといった具合で、むしろ 余計に寒さがこたえます。温暖化するといっても、家の寒さ対策にぬかりがあってはなりません。
 
そんな中、最近はどこもかしこも「暖かい家」と宣伝しています。しかし、このコーナーを読んでくださっている方は、 もうこんな営業トークには騙されないでしょう。そうです。モデルハウスのように惜し気もなく暖房すれば、 どんな家だって暖かくなります。大切なのはより効率的に暖房できるかという点で、これを左右するのも断熱性能や気密性能に他なりません。 エネルギーを無駄にしないということは、夏も冬も同じ理屈なのです。
                             
 それでは、『FPの家』はどうでしょうか?私の家を例に紹介しましょう。
 今日の朝は8℃まで冷え込みましたが、室温は21℃でした。ホットカーペットやコタツは使ったことがありませ。 たとえ外の気温が氷点下にさがっても、いつもと変わらない暖かい朝が迎えられます。布団から出るのも苦痛ではありません。
 「暖かい家」と称すからには、家の中の温度が15℃を下回ってはならないと私は考えています(その根拠はまたの機会にお話します) 。日中はもちろん一番冷え込む明け方であっても、寒さを感じるような家は高性能住宅と呼ぶに値しません。
 そしてもう一つ―。高性能住宅の原則は全館暖房です。リビングが暖かいのは当たり前。家中が暖かくなければあえて 「暖かい家」と名乗る資格はありません。気になる暖房費ですが、ここまで快適でありながら、平均して月額一万円程度です。
 
 もっとも、全館暖房なんて贅沢と感じる方も多いでしょう。しかし健康を求めることを贅沢と考える方はいませんね。 そして家中が暖かいということが健康に直結するとするならば、全館暖房を贅沢の一言で片付けてしまうのは大間違いです。
 正確にいえば、私の家にも3℃程度の温度差はありますが、普通の住宅はこの比ではありません。 極端な場合、20℃もの温度差があるでしょう(例えば、リビングは26℃でトイレが5℃)。もし、家の中にこんな温度差がある とどうなるでしょうか?寒さを感じると血圧が跳ね上がるため、家の中を移動する度に身体にはものすごい負担がかかります。 これがヒートショックです。
                          
 もちろん、健康な方ならこの程度の変化には順応できます。しかし、小さな子供やお年寄り、さらには高血圧の方はそうはいきません。 健康な方でも、お酒を飲んだ後は要注意です。ヒートショックが心筋梗塞・脳卒中・脳虚血などの引き金となり、 最悪の場合には命さえ落としかねません。
 これが単なる脅かしでない一例として、こんな数字を紹介しましょう。入浴中の事故は年間3万件に達し、 死亡者数も一万人を大きく超えています。 そのほとんどが冬場に集中し、世界的にも突出した数字になっています。 寒くて死や病気と隣りあわせというのが日本の住宅の実態ですが、皆さんの望んでいるのはこんな家ではない筈です。
 その上、ここにきて原油価格が高騰しています。いくら健康のためとはいえ、エネルギーを闇雲に浪費できるような状況では なくなってきました。そのため、より少ないエネルギーで効率よく暖房できる高性能住宅は、今後ますます輝きを増して いくことでしょう。省エネによって温暖化防止に貢献しつつ、住む人の優しい健康住宅であるという点こそが「暖かい家」 の真骨頂なのです。
                    

                             外丸 裕 
 


                   

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