=平成20年8月=

お施主様の声

あの『健康な家に住みたいな!』の著者外丸氏が当社の為に書いて下さっている連載が好評を頂きましたので
引続き掲載できる事になりました。

日除け上手が省エネ上手

- 高性能住宅のエアコン活用術② -

 高性能住宅は、もともと寒い冬を快適に過ごすために生まれた住宅です。北米や北欧、日本では北海道がその故郷といえるでしょう。
 そのせいか、とんでもない誤解をしばしば耳にします。高性能住宅は夏の暑さに弱いというのです。中には、《灼熱地獄》になってとても住めたものではないと書き立てる人もいるのですが、実際にはそんな心配はありません。事実、私は冬より快適だと思っているくらいです。
                     
 ただし、高性能住宅を生かすも殺すも住まい手次第。一つだけ注意したい点があります。いったん取り込んだら最後、容易に熱を逃さないという特性だけは頭に叩き込んでおきましょう。
 ここで思い出していただきたいのですが、熱が出入りするルートは2つありましたね。一つ目は熱伝導で、壁や屋根を伝わって熱が移動します。これを遮断する手段が断熱化でした。二つ目は空気の出入りです。換気のための空気の出入りは、必要最小限確保されなければなりません。しかし、いたずらに多すぎれば熱を無駄にします。そこで、気密化という手段で防止しています。
 これに加え、夏にはさらにもう一つのルートが重要となります。それが太陽の日射熱です。炎天下に停めた自動車に置き去りにされた子供が、不幸にも死に至る事故は珍しくありません。窓から差し込む陽射しが犯人だということは周知のことですが、住宅もこれと同じで、家の中に差し込む日射熱によって室内は熱せられます。
       
 もちろん、冬はメリットとなるので問題ありませんが、夏はそうはいかない――。それどころか、窓から侵入する日射熱が全体の70%を占めるため、高性能住宅で夏を過ごす場合、何にも増して日射対策がキーポイントとなるのです。
 では、具体的にはどうすれば良いのでしょうか? 答えはいたってシンプルです。日除けをすれば良いだけの話です。この点さえ注意すれば、北国育ちの高性能住宅は、夏にも快適な家となります。
 ただし、一口に日除けといっても侮るなかれ。ペアガラス窓の内側に、レースのカーテンで日除けをする――。こういう家が多いと思いますが、この場合の日射遮蔽率は40~50%に過ぎません。半分以上の日射が、室内に侵入しています。
 一方、窓の外側で日除けをすると80%以上もの日射を遮蔽できます。つまり、窓の内側ではなく、外側で日除けをする方がはるかに効果的なのです。日射熱をこれだけ阻止できると、エアコンの稼働率は3分の1となります。その分、電気代を節約します。夏の日除け大作戦は、温暖化防止の観点からも効果絶大なのです。

           
 窓の外側で日射を遮るといっても、大袈裟に構える必要はありません。植栽による日除けを奨める人もいますが、余ほどガーデニングが趣味でもない限り私はお奨めしません。純粋に日射対策だけを考えるなら、《すだれ》や《よしず》を活用すれば十分です。そうするだけで、夏の暑い陽射しを防ぎ、快適な省エネ生活を送れます。
 いっそのこと家を建てる時点で日射対策を講じておけば、それに勝るものはありません。予算が許すならば、電動で格納できるオーニングを検討してみてはいかがでしょうか? 軒や庇の意義を再認識するのも良いでしょう。
 ところが、高性能を謳いながら、きちんと日射対策まで考えている業者は意外と少ないのが現状です。窓を大きくとって明るい家だといい、不用意に出窓を使う業者は要注意。屋根の南面や西面に平気で天窓を設けるような業者にいたっては、開いた口が塞がりません。外見上のデザイン性ばかりでなく、実用面からアドバイスできてこそ、高性能住宅を知り尽くしたプロといえます。


                             外丸 裕 



                

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